心の健康コラム

子どもを「一人の人格」としてみること

子どもは親の分身でもなければ所有物でもありません。親の仕事とは、その子どものスピリット(精神)をどのように助け引き出してやれるか、その可能性を広げてあげることが出来るか、それに尽きると思います。子どもにとって親の影響力はとても大きいので、子どものスピリットを羽ばたかせることもあれば逆に扉を閉じさせてしまうこともあります。
親にこれほどのパワーと影響力があるということを、本当に真剣に考えて、なるべく子どもによい影響を与えていってほしいと思います。

レバノン人のカリル・ギブラーンという詩人の詩を紹介します。

あなたの子どもは、あなたの子どもではありません
子どもは命の表現そのものの息子であり娘なのです
あなたを通してこの世に出てきますが、あなたのつくりあげたものではありません
あなたと一緒にいますが、あなたのものではありません
愛情を与えることはできますが、あなたの思い通りに考えを植え付けることはできません
子どもは子ども自身の考えを持っているのですから
子どもの体を家の中に置いておくことはできますが、子どもの魂を留めておくことはできません
子どもの魂は明日という家にすんでいるのですから
そして、たとえ夢の中でも、あなたは明日という家を訪ねることはできないのです
             

夫婦仲が険悪になったときに何が起こるか

夫婦がお互い自分たちの必要を満たせなくなったとき機能不全に陥ります。

こうしたとき、子どもがこの不全の埋め合わせに使われることになります。また、滞在している夫婦問題を「子どもの問題」に置き換えて、「この子を何とかしてください」という形で私たちのところへ相談に来られることもあります。

子どもが夫婦の葛藤に巻き込まれると、時に怒りのはけ口になったり、不幸な親の慰め役になったり、本来なら子どもらしい感情を発露しながら成長するところを、自分の感情など棚上げにして親のために生きることになります。

不幸な親の方は、子どもを生きがいとして過剰な期待を抱き、子どもは親の期待に縛られて自分の人生を失っていきます。

親と子の関係を考えるために

ライエント様のご相談に乗っていていつも思うのは、ほとんどの方が機能不全家族で育っているということです。

親からもらった不健全な人間関係を何回も繰り返し、まるで霧の中に包まれてボーっと手探りで生きているような感覚で生活を続けられている人が多いのです。

電気製品を買うと説明書が付いてきますが、子どもは説明書付では生まれてきませんので、どうしたらいいかと困ってしまいます。そこで育児書を読んでみても、自分の子どもとどうも合わない。。しかも自分にも親との温かい思い出よりつらい思い出の方が多い。。そうなると私たちはフリーズしてしまいどうにもこうにも進めなくなってしまいます。

そのようなときこそ、自分のこれまでの状況や動機を理解するためカウンセラーの力を活用していただければと思います。一個の人間として子ども接することが出来るようになると、不全な人間関係を次の世代に渡さないで済みます。そういうことをカウンセラーとぜひ一緒にやっていければと思います。無意識のうちに繰り返し子どもに伝えてしまっている心の傷になるような言動を少しでも少なくして、自分と自分の親とも歴史とは違う歴史を、子どもとの間につくっていきたいものです。


怒りについて

りとは感情です。

それは、自分の身に何かおかしなことが起きていることを伝えてくれています。怒りはあなたが危険な状態にあること、何かがあなたの行く手を阻んだり邪魔をしたりすることを教えてくれています。そして怒りは、その脅威と戦うこと、行く手を阻むものと戦うことを提案するのです。しかし、怒りは適切なところで維持させることが重要です。反応しすぎることで自分に不利益を生じさせてしまうことがあるからです。

怒りを感じた時は、自分の感じている怒りがどれくらい強いか、0~10までの数字を用いて計ってみましょう。0は‟激怒して全く怒っていない、5は‟確かに怒っているがまだコントロールできる”、10は‟激怒していて完全に手が付けられない”ことを示します。

自分には怒りの問題があると思っている人に聞くと、だいたいの怒りを「私の怒りは7か8か9か10だ」と評価します。それはまるで「小さな怒りは今まで体験したことがない」と言っているようです。そのような人は、些細な攻撃に対してさえ相当な腹を立てている傾向があります。

最近のあなたの怒りの引き金になった問題はどれくらいの深刻度でしょうか。0~10の点数で評価してみましょう。

うまく点数が付けられないときは、「怒りの温度計」を思い浮かべてもいいです。0は‟冷たい、4は‟湯気が出る”、6は‟熱い”、8は‟焼けるように熱い”していて完全に手が付けられない”、10は‟沸騰”です。

評価できましたか?

問題の深刻さが小さいのに、一貫して強い怒りを感じているのであれば、あなたは怒りに対して反応しすぎていることになります。

怒っている時に、自分がどれくらい怒っているのかを自問しましょう。そして、余計なことを言わないように違ったことをしてしまわないようにするためにはどれくらい温度を下げたらいいのかを自問してみてください。